2008年12月9日火曜日

超・超整理法

15年も前に日本から帰るときに空港で買った本に野口悠紀雄の「超整理法」というのがあります。

後で聞くとミリオンセラーになったそうですが、私もこういうHow-to-物でこれ程役に立った本はありませんでした。ファイルの仕方の本です。本来だらしない性格の私は今まで何度もちゃんとファイルしようと頑張ってもいつも駄目になり、諦めていたのです。飛行機の中で読み始めて、凄く感心。帰ってからさっそく実行しました。今でも感謝している方法です。要は、「あらゆる分類を廃止する」という発想です。だらしなくて、めんどくさがり屋の私には打って付けでした。

どうするかというと、A4が入る封筒をいっぱい集める。その中に本来はファイルするべきものを、紙一枚でも、少々分厚くても何でも一つずつまとめて、手当たり次第放り込み、封筒の表(右側の端)に内容を書いておく。それを本棚に並べるだけ。次に新しいものを並べるときは、一番左側に立てかけていく。封筒で、使ったものも、終わったら左端に並べる。しばらくたつと、一番最近使ったものが左端、全然使わないものが右端に自然に整理されていく。1年に1度ぐらい右端の封筒の中で、全然使わないものは捨てるか別の形で整理する(私はほとんど整理していません)。この本箱の一角は、多い人でも1メートル半ぐらいだそうです(私の場合は半メートルぐらいです)。内容は何でも。来週の会議に使う資料から、学校からのお知らせ、書きかけの原稿、来週使う授業の資料、もっと個人的なものまであります。

あちこち探すより、1メートルぐらいだったら、封筒に書いてある表題(右端が前になっている)をめくっていけば5分もかからず、全部見られます。それに大体の時間的な経過は覚えているから、もっと短い時間で探せます。

見た目はゴチャゴチャしているから、きれい好きな人だったら、新しい封筒で一律にすればいいでしょう。でも、あの青い封筒などと覚えていることも多いから、写真のようにグチャグチャしているほうが探しやすいかも。

これは本当に役に立ちました。特に私は一時、いろんな仕事にかかわっていました。大学の日本語科、音大でエルゴノミー、ダンス、自分の会社の仕事(一時はお店も持っていた)、趣味その他。1週間がいろんな種類の活動に中断されることが多かったです。だから、「整理するな。立て掛けろ」は本当に素晴らしい助言でした。整理するのが苦痛の人はぜひ試してください。

先週、アマゾンからのメール広告でこの人の新しい本が出た、といってきました。「超・超整理法」といいます。

最近、本を買うとき、時々アマゾンを使います(送料のほうが高くなったりするから悲しいですけど)。先ず、カスタマー・レビューというのがあって、この本は27人が感想を書いていました。

こんな分かりきったことで300ページもよく書けるものだ、というのから、最初の3章までは良かった、というのや、とても役に立った、考え方を習ったというのまで、いろいろでした。

要約すると、Gメールの活用法です。今度は「整理するな。検索しろ」
Gメールは6ギガバイトの容量を無料で使えるし、Googleの検索エンジンを活用しているから、メールの中の一言でも思い出せれば、検索できる。これを100%利用すれば、ほとんどデジタル・オフィスができてしまう。というような内容でした。私もこの2-3年、Gメールを使っているので、前の本ほどは感激しなかった。必要な書類を添付して自分宛に送っておいて、仕事場や旅行先のホテルなどでメールを開け、仕事を続ける、などはやっていました。でもここまで徹底的に、ファイルの代わりにメールを使うことは考えなかったです。

日本ではGメールはあまり使われていないようなので、最初の1-3章までが良かった人が結構いるようです。私のとって面白かったのは、どちらかというと最後のほうでした。野口さんは知識獲得のしかたの変化ということを指摘しています。検索ということが今日のように簡単にいかなかった時代(といってもほんの10-15年前なのですが)には、知識を持っていること自身が知識人として大切な要素だった。これからは多分全く違った知識の内容を問われるようになるだろう。例えば、学校で学生達の論文の書き方が問題となっている。インターネットで見つけた回答を繋ぎ合わせて、コンピュータで張り合わせ、レポートを書くことが問題となっているが、それは、古い形の知識の有無を問うから起こるので、質問の出し方の問題、教師側の問題だ。といっています。

そこで思い出したのがスヴェンの問題の出し方です。音楽史を受け持っていたとき、前もって学生にA41枚にぎっしりと作曲家の名前や音楽用語をABC順に書いたものを渡して、その紙は試験の時持って来てよい。でも問題の出し方は、文章で答えるようなもので、リストの語彙を正しく使っていると点になるように考えてありました。

将来の音楽の先生はバッハの年月日とか何を作曲したか、などはネットで調べればすぐ分かる。それよりABC順に並んでいる言葉から自分で選んで、一つのまとまった考えにして書く(話す)ことのほうが必要だから、といっていました。

最後に、この本の著者は、日本では固定的な考え方でファイルを作るほうが未だに高く買われているが、このようなことでは知の産業革命は起こり得ない。1993年に「超整理法」を出版した時、著者の昔の同僚(当時の大蔵省)は「書類の整理の必要など一切ない。会議が終わったら、部下に書類一式を渡し、次に必要なら『オイ、あの書類』といえば持ってくるから」と言っていた。しかしこの部下というのは、きっと東大出の秀才なのでしょうね。そういう若い人たちをそんな風に使うのではたしかに希望がないですね。若者のほうが今のシステムをよく知っているのだから。

ただ、「日本の企業の価値はグーグルの百分の一」といって、日米企業の一人当たり時価総額としてグーグル、マイクロソフト、アップルとトヨタ、ソニー、日立製作所を比べているけれど、それでは比較にならないと思いました。本当なら、トヨタをGMやフォードと比較するべきじゃないでしょうか。多分、そうしたらトヨタが勝つと思うんだけど。

まあ、そんな本を読みました。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

里子さん、こんばんは。

私はHow-to-物は読んだことがないので良く分かりませんが、こういう本が結構売れるんですね。ちょっと不思議です。

ところでアマゾンジャパンは送料が高いと聞きました。
「ねっとほんや」ってご存知ですか?
私はいつもここを利用しています。30冊以上のまとめ買いなら、規定の送料ではなく郵便局の送料が適応されるそうです。
http://www.nethonya.com/

匿名 さんのコメント...

satokoさん。
早速、ねっとほんやのHPを見ました。
確かにこちらのほうが安いみたいです。特にいろんな送り方ができるので、トレースしなくてもいいのなら、絶対に安い方法がありますね。
情報、どうもありがとう。今度、注文してみます。