2008年11月1日土曜日

シルヴィア女王

ラジオの第一放送では毎週土曜日、午後1時~1時半まで30分に渡って時の人をインタヴューします。今日のゲストはシルヴィア女王でした。女王は子どもの権利侵害問題、特にポルノ、ペドフィール、トラフィキング、難民の子どもの権利などに興味を持っています。時にはかなり突っ込んでの質問に、これもかなりはっきりと答えています。
日本では絶対に考えられない。以下、内容を要約します。(I=インタヴュアー、S=シルヴィア)


I:今日のインタヴュ-のテーマは「世界のそしてスウェーデンの危険にさらされた子ども達」ということなのですが、いつごろからこの仕事をこれ程熱心にされているのですか。

S:1976年の結婚祝いの基金ができてからです。始めは障害児のためのものでした。障害を受けた子ども達が同じような立場の子どもに会うことによって、友達が出来る、将来の希望が持てればという趣旨でした。スポーツを通して、他の仲間がどのように難しい立場を克服してきたかをみて、元気付けられたらということでした。パラリンピックも大切です。基金は今、多くの研究者を助けるようになっています。また本の出版もしました。
このような子ども達は障害児になったことで、友達も失ったりしています。でも、スポーツを通して、仲間が出来、再びアクティブな生活が出来るようになるのは大切なことです。

I:危険な状態にある子ども達のためにスウェーデンがするべきこでは何が一番大切だと思われますか。

S:何が一番大切というのは難しいですが、今日インターネットが果たしている役割はとても大切だと思います。15年ぐらい前、私はインターネットは暗黒の穴だと言いましたけれど、これ程の発展をするとは思わなかったし、いろいろな助けになっています。でもまたインターネットが邪悪な機関でもあることはたしかです。

I:どういう意味ですか。

S:速さと扱いの簡単さです。昔はビデオを撮っても自分で簡単には扱えなかったけれど、今はインターネットに載せて、あっという間に世界中に送ることも出来ます。それによって子どものポルノも簡単に公開できます。

I:今、そのような写真を見ることを禁止する法律の是非が取り沙汰されていますが、どのようにお考えですか。

S:スウェーデンではまだですが、ノルウェーとデンマークでは既に法律になっています。私はスウェーデンも見習うべきだと思います。

I:個人の権利侵害という考えがありますが。

S:子どもの権利のほうが尊敬されるべきです。

I:見るだけで子どもの権利が侵害されるのですか。

S:あなたはそのようなフィルムを見たことがあるのですか。撮影するのに子どもがどんな危険にさらされるのかを。政治家はノルウェーやデンマークを見習うべきだと思います。
 
I:もうすぐ第3回ECPAT(性的侵害に対する子どもの権利を守る会)会議がリオデジャネイロで開かれます。女王陛下はストックホルムで行われた第一回会議に積極的に参加されましたね。それ以来どのような進展があったとお考えですか。

S:96年は当時の首相、イングマー・カールソンのイニシアティブで開かれました。122カ国が参加し、この種の初めての会議でした。この問題について初めてオープンに議論がなされました。この時日本から二人の女性国会議員が参加され、世界最大のポルノグラフィー産業が日本にあることを知り、非常に驚いていました。日本に帰ってからこの二人によって国会で討論され、法律が作られました。日本国家の勇気のある行動だと思います。第二回目の会議は横浜で開かれました。その後あちこちの国で、同じような法律が出来たことは、非常な進展だと思います。

I:上手くいっていないことは何ですか。

S:インターネットをもっと統制できないことです。もちろん多くのことが起こっているのですが。例えば、イェテボリの工業大学、シャルマースの学生が作ったプログラムでネット・クリングというのがあります。これをインストールすると、ポルノのサイトを開けると同時に警察と仕事場のチーフに通知が行くようになっています。
スウェーデンでは毎日5万人もの人ががポルノを見ているのです。それも社会のあらゆる層、医者も教師も両親(父親ですが)も見ている。どうしてこんなことが可能になったのでしょう。

I:どうして可能になったと思われますか。

S:例えば多くの人が自分は関係ないと思うとか、ただの写真じゃないか、大したことない、などと思うのではないでしょうか。ですから、私はこの種の会議で問題が表面に出て、討議され、いろいろな手が打たれることは喜ばしいと思います。

I:メディアがペドフィールのなまえを発表すればいいと言う意見に対してどう思われますか。

S:それは大変複雑な問題です。こういう人たちは子どもに接触のある職業と関係してはいけないのです。こういう人たちは助けてあげるべきです。医学的に、精神的に。

I:このような犯罪を犯す人は、子どもの時に暴行されたりしていると言われています。それに対して同情するべきだと思われますか。

S:この人たちは病気なのです。本当は社会が助けを差し伸べるべきだと思います。

I:FNはスウェーデンも人権侵害が行われていると発表していますが、このことについてどう思われますか。

S:子どもの権利もですが、そのほかにもう一つ大切なことがあります。トラフィキングです。映画「リリー・4・エヴァー」をご覧のことと思いますが、スウェーデンに連れてこられて、売春を強制される女性達。この人たちを助けるのは、警察もとっても大変なことなんです。

I:セックス・ツーリスムに対してどう思いますか。新政府の観光大臣、モード・ウロフソンは入閣2年となるのに、ほとんど何もしていないことに対しては。

S:今日では600の旅行会社が斡旋などしないと言う宣言書にサインしています。そういう意味で進歩はしています。

I:FNの子どもの権利に対する条約をどう思いますか。

S:この条約がもっと知り渡ればいいと思います。子どもが自分の権利を知るということ。その場合、今のスウェーデンで学校でどのように扱っているかを一考する必要があるでしょう。来年はこの条約の20年記念です。その誕生プレゼントとして、このようなことを考えて欲しい。

I:USAがFNのこの条約を批准していないことについて、どう思われますか。

S:USAは署名はしましたが、批准はしていません。この条約では子どもの定義は18歳です。16歳ではありません。私もなぜ批准しないのか疑問に思って、彼等に聞いてみたのですが、ある国会議員は「FNの言うことを聞きたくない。我々は独立の国家なのだから」と言っていました。私の答えは「私の国も独立国です」

I:新しい大統領になったら変わると思われますか。

S:そうだといいと思います。

I:避難民の子ども達、特に移民を拒否されて隠れている家庭の子ども達に対して、どう思われますか。

S:そういう子ども達は大変難しい立場にあると思います。(しばらく沈黙)私自身の考えがありますから、この質問に答えたいのですが、これは政治的な質問なので、次の質問に移ってください。

I:どういう意味で政治的なのですか。

S:これは政治にかかわっている人たちが解決することです。私も考える一個人ですから、自分の意見はあります。でもそれは彼等と直接話し合いたい。ここではこの問題は話し合いたくないのです。

I:最後に、王室は意見を言うことを禁じられていますが、狼に対してでも何でもいいのですが(王様は最近、狼猟に賛成する意見を述べ、アカデミーの会員の一人、著作家に批判された)、王家は口を出さないと言う禁則は強すぎると思われますか。

S:ええ。多分。狼については、主に二つの意見が対立していますが、何も知らない作家が意見を述べるのは…

I:王室はもっと意見を述べられるほうがいいと思われますか。

S:一度子ども達が小さかったとき、学校の成績評価について、親として、と断って意見を述べたことがあります。それでも大議論になって…私たちも考えのある人間です。もちろん政治家のしごとも尊敬しますし、法律も尊敬します。でも非常に個人的な問題、特に子どもに関しては意見を控えるのは難しいと思うこともあります。

I:今日はどうもありがとうございました。

2 件のコメント:

加代子 さんのコメント...

ウ~ン、これだけネットが普及してる昨今、
規制は難しいでしょうねぇ・・・
子供を食い物にしてる産業は頂けません!

それにしても一国の女王様が 関心をもって
一生懸命運動してくれるのは頼もしい限りですね^^

里の猫 さんのコメント...

加代子さん。
シルヴィアはドイツから来た「普通の人」で話すときもかなり訛りがあります。でも皆から受け入れられています。こういう仕事をすることに大きな意義を感じているのでしょうね。昔はストックホルムの王宮に住んでいたのですが、子どもが少し大きくなった時、彼女の希望でドロットニングホルムの宮殿に越してしまいました。郊外の広い公園の中で、湖のほとりにあって、子どもを育てるのにはいいところです。王様はそこから自家用車を運転して、ストックホルムのお城に通勤しています。相当かかあ殿下みたいですよ。