2008年11月12日水曜日

東京裁判

11月11日は第一次世界大戦が終わって90年目だそうです。そして60年前のちょうどこの季節に東京裁判で戦犯の判決が下ったそうです。間30年。第二次世界大戦が始まってからも二十数年なのですから、人間は歴史から何も学ばない動物なのかな、と思ってしまいます。 東京裁判
文藝春秋10月号はこれを記念して(?)「新・東京裁判 -60年目の総決算、国家を破滅に導いたのは誰だ - 決断しないリーダー、暴走する組織」という座談会を載せていました。


東京裁判に当たっては、戦争前後も入れた莫大な資料が集められたそうで、それだけでも歴史的価値があるようです。そして、これ等の資料は2006年以来、少しずつ公開されているそうです。


私は昭和史にあまり興味がなかった(学校では全く教わらなかった)のですが、9月11日NYのテロ以来、ちゃんと知らなければだめだ、と思い始めました。


というのは、当時の最大野党、穏健党の党首(今の外相)カール・ビルトがあのテロを真珠湾攻撃と比較したからです(この人は時々おかしなことを言う。最近もグルジアを攻撃したロシアをナチスと比較して、えっと思わされた)。真珠湾には本当に頭にきた。抗議の手紙を書こうかと、本気になって思ったほどです。でも、冷静になってみると、実は私は何も知らないのです。したがって抗議もできなかった、悔しい思い出があります。


それでこの座談会は大変面白かったです。戦争は果たして避けられたのか。勃発する前にどんなチャンスがあったか。陸軍は、海軍は、政府は、メディアは、国民は、天皇自身はなにをしたのか。世界情勢はどうなっていたのか、など。私にとっては、恥ずかしながら、なるほどと思うことがいっぱいでした。


読後感としては、私は戦争は避けられなかったんじゃないかと思いました。当時(今も?)日本は外交があまりにも下手だからです。新しくできたばかりの国家、国際関係での駆け引きの経験にかけている、欧米的論争に慣れていない(何しろ相手は海千山千のチャーチル、ルーズベルト、スターリンなんですから)、国際情勢をあまりにも甘くみている、など、何を取っても経験がなくて、突っ走ってしまう。これでは、無理だったんじゃないかと思いました。


でも、残念ながら、これは今の日本にも当てはまりますね。国内でギャーギャー反対するばかりではどうにもならない事が多いんじゃないでしょうか。例えば憲法9条の問題を知っている外国人がどのくらいいるでしょうか。言うべき時ははっきりと言う。それも外国人に分かる言葉で、冷静に。うーん。やはり今の日本人にも難しいですね。

4 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

おはようございます!

11月11日はArmistice1918で
フランスは祭日でした。
そう言えば私も第二次世界大戦前後の事は
あまり習いませんでした・・・
歴史は好きですが近代史はあまり。
里の猫さんの仰る通り戦争は避けて通れ無かった様・・・
日本はあまりにも無知でしたよね。
外交の駆け引きも戦争のルールも知らず
最後はソヴィエトが仲裁してくれると信じて
何だか情けなくなります。
今も政治家の国際政治音痴は変わらないみたいです。

SoS さんのコメント...

加代子さん。
本当ですね。
靖国参拝の問題でも、国としての方針などなくて、各政治家が好き勝手に行動して、ちゃんと説明しない。ヨーロッパに住んでいると、「えっ、こんな非常識なこと言ってもいいの」と思うことがよくありますよね。したたかさが違う。

匿名 さんのコメント...

先の大戦に関しては、日本でたびたび議論になることですね。今も航空自衛隊の元幕僚長が、戦争に突き進んだ日本の態度を美化するような発言・投稿を行ったとして、大きな問題になっていますね。

歴史の評価というのは、様々な見方があり、しかも現代に近い歴史ほど、感情がこもりすぎて、大論争になりがちです。学校教育でもその点を避けて、あまり詳しく教えようとしないのかもしれませんが、私としてももっと教えて欲しかったと思います。

そして、それは「日本が全くダメで悪い所だらけだった」とか「日本は全然悪くない。戦争は必然で、いいこともたくさんやった。」というような極端な見方ではなく、もっと冷静に客観的な事実を付き合わせた議論を聞いてみたいなと思います。

軍部がなぜ独走したのか、なぜ戦争への道を歩んでいったのか、戦争は避けられなかったのか、など一つ一つ吟味していかなければなりません。そもそも、植民地化を行うことの是非も、現在および当時の通念に照らし合わせて考えなければなりません。

また、たとえ仮に戦争突入が避けられなかった、という見方をしたとしても、果たして途中でやめることができなかったのか、勝てる見込みはないのにどうして最後の最後まで戦争を続けてしまったのか、という点もしっかり吟味するべきだと思います。

この点に関しては、冷静な判断を失ってしまい、多くの国民をむやみに死に追いやった当時のリーダーは、大きな罪と責任を負っていると思います。

日本の最近の映画「男たちの大和」や、クリント・イーストウッド監督の「硫黄島の戦い」を見た日本のある若者が、犠牲になった日本の兵士について「彼らは家族を守ろうと一生懸命に戦い、彼らのおかげで今の日本があるんだ」と感想を述べていたのですが、私には、犬死・無駄死以外の何ものでもないように思えてなりません。もう負けることは分かっているのに、国の面子を少しでも長く保つために、前線に送られた可哀想な被害者だと思いました。

長くなりましたが、「新・東京裁判 -60年目の総決算、国家を破滅に導いたのは誰だ - 決断しないリーダー、暴走する組織」というタイトルを読みながら、そんなことを思いました。是非目を通してみたいと思います。

私もおっしゃるように、日本の外交べたと日本人の論理的思考の苦手さは、当時とほとんど変わっていないように思います。

SoS さんのコメント...

Yoshiさん。
この座談会は6人の話者なのですが、読んでいて、皆意外に冷静で、日本もここまで進んだのかなあ、と思いました。今まで昭和史を敬遠していた理由の一つに、おっしゃるように「日本は全く駄目」か「自分達は悪くない」のどちらかが鼻について、敬遠していたのです。これを読んで俄然興味をもち、アマゾンで半藤一利(この人も話者の一人です)と言う人の昭和史I+IIの2冊と日暮吉延(この人も対談に参加している)の「東京裁判」というのを注文しました。日暮という人は座談で「日暮さんは、海外の新資料などを基に、新しい切り口で東京裁判の実証研究に取り込んでいますね」と言われているので買う決心をしました。今、昭和史IIから読み始めました。Iのほうは、何をしても裏目に出る日本軍部、政治家の運の悪さとふがいなさにちょっと辟易してしまったので、戦後のほうを先に読んでいます。すごく面白いですよ。
文春、よろしかったらお貸しします。