2008年8月14日木曜日

友だち

日本の友だちH夫妻がイェテボリに訪ねてきました。
奥様は歌手。ご主人は今、翻訳家として退職後の人生を楽しんでいらっしゃいます。
1999年、スヴェンが日本でコンサートをした時に共演してからのお付き合いです。とっても素敵なご夫婦で、今回は奥様がエストニア、タリンのピアノの学会で歌われるので来欧。ここまで来てくださったのです。ご主人は奥様のサポート係を見事にこなしていられます。ご自分の仕事に誇りを持ってしっかりとやってていらっしゃった(いらっしゃる)方は、脇役になっても元の魅力をもったままで、ゆうゆうとしていらっしゃいます。
スウェーデンの新幹線、X2000に乗って(鉄道はご主人の趣味の一つなのだそうです)ストックホルムから3時間。午後に中央駅で再会しました。
ホテルで一息。今日、最初の目的地はチェンバリスト、アンドレアス・エードルンドです。
アンドレアスとはやはり1999年からの知り合いです。日本公演のとき、アンドレアスも一緒だったのです。先ず、彼のスタジオに行きました。このチェンバロは久保田彰さんの製作です。日本でも有数な製作者の久保田さんは当時まだ若いアンドレアスにほれ込んで、このチェンバロを生涯貸し出しという条件で作ってくださいました。アンドレアスもその期待を受けて、素晴らしいチェンバリストに育ちました。今は、演奏も理論もこなす音楽家となっています。彼は9月にはイェテボリ大学、音楽科でマスターを取るところまで来ています。イェテボリ大の音楽科には、音楽家であっても修士や博士号が取れるシステムがあります。つまり、音楽家として完成するということは、実践上の経験と共に内に溜まっている技術や知識があるのですから、それを元に研究テーマを選んで書くことが出来るはずだ、という考えから作られた部です。
アンドレアスの研究テーマは「18世紀の演奏法、ひとつの選択」という副題で、ペルゴレーシのスタバート・マーテルを50年後に書き直した(改作した?)フォーグラーという人の作品を中心に自分の経験と比較したものです。アンドレアスは小さいときから通奏低音に興味があって、音大もクラリネットを主楽器に選んで入学したのに、チェンバロで卒業するという変り種です。教会音楽家のタイトルも持ち、クラシックの鍵盤の技術もある上に、フォークのグループなどでもジャムセッションのようにアドリブを演奏することが出来る。学生時代にはスヴェンのグループで古楽器の多種類(リコーダー、ドゥルチアン、ポンマー、クルムホルン等の吹奏楽器からハープ、クラビコードまでこなすというオールラウンドの才能の持ち主です。チェンバロに興味を持ったときから、バロックの音楽家(作曲、演奏、インプロなど総合的な音楽の知識と演奏技術を持つ)を目指していたのだと思います。そして今、そのような音楽家に成長していく段階で、現代、バロック的な音楽家であるとはどんなことを意味するのかを考えた。それを論文の形にしているのです。指導教官に気に入られて、博士課程も、と勧めるられているらしいです。若いのにこのような経験を持っているので選べた主題だと思います。論文に書いている考え方をHさんのご主人にも披露して、意気投合していました。

アンドレアスの演奏を聞いた後で、彼のアパートに出かけ、奥さんや子ども達にも会いました。99年には彼は独身だったので、Hさんご夫妻は家族と初めての出会いです。


その後で、ホテルに帰り、そこで食事をしました。私と奥さんはアンコウの焼いたの、ご主人はスウェーデン名物、ショットブラー(肉団子/ミートボール)でした。








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