2008年10月15日水曜日

文藝春秋

文藝春秋9月号の記事に堺屋太一(元経済企画庁長官)が「日本経済、凋落の十年・恐慌的スタグフレーションが来る」というかなり衝撃的な記事を書きました(今全世界に起こっていることを考えると、あまり衝撃てきではないかもしれませんが)。

今、世界に起きている経済の経理を私のようなものでも分かるように、やさしく書いてあります。
「日本経済はいまだかって経験したことのない深刻な危機を迎えています。「内憂外患」に加えて「身中の虫」にも取り付かれた三重苦の状態の陥っているのです」という書き出しです。

今回はこの中でも「外憂」について書いています。特に面白かった(!?)のはアメリカのニュー・リベラリズムのメカニスムを非常に明快に説いているところでした。

まず「現在の国際経済を論じる時そのキーワードは「ペーパーマネー」「証券化」「グローバル化」の三つです」と語り始めます。
「ペーパーマネー」の問題は1971年ニクソンショックによって金本位制が停止されたところから始まります。ニクソン、カーター両大統領はまだ大人しかったのですが、レーガンになってから、大胆になり、減税(当時のアメリカのGDP比で2,9%)をお金を刷ることによって実行します。こうなれば先ずインフレがひどくなるはずですが、それをレーガンは貿易の自由化によって切り抜けます。日本から自動車、香港から繊維製品、中国から玩具というように安い物を世界中から輸入して物価の上昇を抑えました。それによりアメリカの製造業は破滅的打撃を受けます。それを切り抜けるために、アメリカの工場はアジアで生産して、自社のブランドで売る。それによって利益を得るようになりました。その課程で中産階級の没落が起こりました。「要するにレーガン大統領の経済政策(レーガノミックス)は、ペーパーマネーの供給を増やすことで財政赤字と貿易赤字を賄う一方、グローバル化によって物価を安定させました。それによって生産業が衰退し、新型サービス産業や情報産業等が成長、産業構造も転回したのです」アメリカがいくらでも買ってくれるのですから、世界の国々はアメリカに近接、ソ連陣営は見捨てられました(ベルリンの壁崩壊)。日本などは工業依存の形から抜け出せなくなります。
アメリカは国債の発行、外国からの借り入れで国際収支を賄っています。金と交換する必要がないから、できるのです。それでも通貨が過剰にならないためには、通貨の借り手を増やさなければなりません。ここに現れるのが「天才的偽装=サブプライム・ローン」です。そしてこの偽装を拡大したのが証券の「グローバル化」です。このほかにも石油の問題などいろいろあるのですが、大筋としては世界経済が今日に至る過程が実によく説明されています。来月はその続きで、「地方の没落に象徴される内憂と、退廃した官僚という身中の虫」について述べるそうです。今から楽しみ(!?)です。
それにしてもこの堺屋太一という人、1998年ごろ小渕内閣で経済企画庁長官をしていたということですが、こんなに頭脳明晰で、物を簡略に説明できて、すぱっと物が言える人が内閣にいたのに、日本はどうしていつまでも低迷しているのかなあ、と不思議に思いました。

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